研磨の原理
物を磨くことで表面を鏡面のように滑らかに仕上げることもできますが、なぜ磨くことで表面の凹凸が限りなく平坦になるのかはいくつかの説があります。
微小切削説
この説によれば、研磨材のもつ物体を削り取る力によって表面を少しずつ切削することで凹凸を平坦化されているとされます。粗工程の研磨では主としてこの作用によってものが磨かれていきます。
塑性流動説
どのようなものであっても表面を拡大すると山や谷がある凸凹の状態が観察できますが、この説では研磨中に研磨材と加工している対象が摩擦によって高温となって、山の部分が流動して傷として見える谷を埋めてしまう現象が起き、表面が平滑になっているとされます。バフ研磨といって、研削作用というよりは、加工時に発生する熱で塑性流動に近いタイプの研磨でこの現象が起きていると言われます。
化学作用説
この説では研磨材と研削液、磨いている対象との間に何らかの化学反応が起こって水和層ができます。それを削り取ることで表面が平坦化していくという説です。化学研磨といって、表面を薬品によって溶解させていく研磨方法もありますが、これは物理的な作用とは関係なしに化学反応のみで行う研磨の種類の一つです。
研磨の様式によっては、これらのどれかの特徴が顕著に見て取れるものもありますが、多くの研磨作業では多かれ少なかれこれらの作用が複合的に起きることで、ものの表面が磨かれていると考えられます。実際のところ、現在の科学ではなぜものが研磨できるのか、研磨されている表面で何が起きているのかは完全に解明されておらず、断片的に観察できる上記のような現象や、経験上から導き出される推測によって説明がなされています。
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